飯舘村見学ツアー ―小さな村から、社会を変える試みを学ぶ―

  青空が広がり、ピリッとした朝の空気に気持ちもすがすがしくなるような新しい一日が始まりました。今日は、飯舘村について学ぶツアーの日です。

 

飯館村は、地震による被害はほとんどありませんでした。しかし、原発の爆発によって放射能を含んだ雲が流れ込み、村に雪と共に放射能が降り注いだのです。

 

現在、村に入ると耕作放棄地などいたるところにソーラーパネルが広がります。

 

農業も一部再開していますが、国の法令により田畑の除染はあぜ道には及ばないことによる不透明感や、さらに高齢者が増加するこの村は、以前のような田畑の風景にはまだまだ戻ることはできません。村の南部にある長泥地区はいまだに帰還困難地域であり、帰ることができません。この地区は、特定復興再生拠点区域に指定され、線量低減化実証実験が行われています。2023年ゴールデンウィークには、避難解除を目指していますが、まだ多くの問題が残っています。

長泥地区の今の様子

長泥地区では避難解除に向けて準備が進められています

 今回の飯館村のツアーでは、始めに交流センターふれ愛館で、佐藤健太村議から、飯舘村の歴史、特に震災後の村の状況をお聞きし、未来に向かって、重要文化財に使用してもらえるような漆を作りたいと、漆畑の様子を動画で見せていただきました。

この村に住むことをとても誇りにされている佐藤議員

その後、特定非営利活動法人ふくしま再生の会(以下、ふくしま再生の会と表記)の田尾理事長に、仮設住宅の部材を利用した宿泊施設、廃校になった小学校の一部を残して作った学び舎irori、屋根が手動で移動する天体観測小屋、放射能測定小屋、東京大学の学生が中心に行っている森林再生活動の現場、高齢者対象の健康講座を案内していただきました。

小さな展望台です♪

その名も「あぶロマ星空観測基地」

宿泊施設のリクレーションスペースからはスズランが群生する里山が見えます

宿泊施設に設置されている空間線量測定器

民間の食品放射能測定器

ふくしま再生の会は、震災後まもなく飯舘村に生まれ、研究者、村民が協働し、放射線量を測り続けています。さらに除染方法の開発、農業、林業再生、健康のケア、世界に向けた情報の発信を行っている団体です。現在は、アーティスト、若者も加わり、村民と共に村の再生に取り組んでいます。

村内のシェアオフィス

放射線を可視化する装置!

倉庫内にcafeがあります

 支援する側と支援される側の垣根を取り去り、被災地で、継続的に活動を続けている姿にとても共感を覚えました。放射能について「事実を知り、正しく恐れること。」と言う言葉が心に浮かび、このブログを書いている今も残っています。

 

 原発の事故により、故郷の土地も生業も奪われ、家族が分断され、大きな苦しみの中に置かれたこの小さい村。その村で再生しようと日々努力を重ねているこの事実が、実は社会を変えていくきっかけになるのではないかとさえ思えました。

 

私たちも、この社会に共に生きるものとして、被災地と連帯していくことの大切さを改めて、心に刻んだ一日となりました。

【 記事:福島事務所 豊田 】

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