住民と共に、変化する買い物支援

大槌事務所では、2019年台風19号による台風被害を受けた山田町船越田の浜地区に支援活動を行っています―――

2019年10月の台風19号被災直後、応急仮設住宅やみなし仮設住宅へ被害状況や困りごとの聞き取りを行いました。その際に多く聞かれたのが「仮設住宅は交通の便が悪く、買い物が大変」という声でした。もともと田の浜地区は町の中心部から離れたところにあり、バスでの外出は朝出かけて夕方帰宅することや、タクシーでの往復料金は年金暮らしの高齢者の家計を逼迫させるものでした。加えて東日本大震災に続き二度目の自宅再建となると、経済的にも精神的にも大きな負担を抱えています。

届いた声に応えるため大槌事務所では2020年6月より買い物支援を開始しています。

しかし、全国的に新型コロナウイルスが蔓延し対面での支援活動も難しい状況となり、スタッフの運転する車に同乗させての買い物支援は困難となりました。それでも、なんとかして買い物支援を実施しようと試行錯誤した末に辿りついたのがオンラインでの買い物支援です。

利用者の自宅とスーパーをテレビ電話でつなぎ、お店に行かずとも商品を目利きできる買い物支援です。地元のスーパー「びはん オール店さま」にご理解とご協力をいただき、コロナ禍ならではの買い物支援を実施することが可能となりました。タブレットの画面に映し出される新鮮な魚や野菜の映像に利用者は大変驚かれ、感動されていました。また、寒い時期には重い灯油の購入も大きな負担となっていることから、灯油購入も買い物支援のメニューに加わりました。

お店にいるスタッフからテレビ電話で生中継。山田産の鮭も鮮やかで美味しそう!

灯油の価格高騰は家計を直撃。寒さの厳しい東北では価格を抑えたセルフのGSが大助かり!

 

次第にワクチン接種がすすみ新たな生活様式にも慣れた頃、感染予防をしつつ本来の買い物同行・代行支援の実施を開始しました。最初のころは約束事に窮屈する場面もありましたが、友達同士での利用や乗り合わせすることで新たな友達が増えた方もいます。

80代の女性は、あらかじめ購入したいものをドラッグストアに連絡して準備し、すぐ会計出来るように交渉した方もいました。この変化と行動力にはスタッフもびっくりです。最近では、財団の開催するサロンや農園でお友達になったご近所さんグループで、大型ショッピングセンターでの特別な買い物やランチを楽しむなど、窮屈な自粛生活のなかでも小さな喜びとなっています。

 

買い物支援がスタートし今年7月までに400件を超える利用がありました。高齢化がすすみ利用は年々増えていますが、この3月に支援事業は終わりを迎えます。なんとか地域にこの仕組みを残し運転ボランティアを募ることができないかと、地元のみなさんと協議しました。しかし、みなさんからは「自分自身も高齢のため誰かを乗せて運転することに不安を感じている」「自身も間もなく免許返納することから自分の今後も不安」と、地域住民だけでは解消できない大きな課題が新たに見えたのです。

それでも高齢の方々が「買い物難民」とならぬよう、地元スーパーへ移動販売の協力依頼などの新たな策を練り、自己満足の支援にならぬよう最後まで地域課題に向き合っていきたいと、気持ちを新たにしています。

(芳賀)

 

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