2026.07.03
陸前高田市で紡がれる「働きづらさ」への伴走
本部事務局

~ 一般社団法人スナフキン・アンサンブル 訪問記 ~

 

雨に濡れた木造の廊下、少し傾いた玄関の庇、そしてその奥から聞こえてくる穏やかな話し声。今回の訪れたのは、岩手県陸前高田市で「陸前高田市ユニバーサル就労支援センター」を運営する一般社団法人スナフキン・アンサンブルの事務所です。

震災から15年が経とうとする今、陸前高田の風景はインフラの面では大きく姿を変えました。けれど、この日私たちが目にしたのは、そうした「復興後」の街で新しく育まれている、人と人との関係性そのものでした。

 

☆彡 昭和の趣を残す旅館が、支援の拠点に

事務所として使われているのは、昭和初期の趣を今に伝える旧旅館の建物です。木製の欄干や格子窓、雨に濡れて艶を増す板張りの外壁からは、長い年月をこの土地で見守ってきた気配が伝わってきます。ハード面の再建が進む被災地にあって、あえて古い建物をそのまま活かしているところに、この団体が大切にしている価値観が表れているように感じました。

 

 

☆彡「働きづらさ」に寄り添う場所

一般社団法人スナフキン・アンサンブルは、2019年に公益財団法人共生地域創造財団の陸前高田事業所として活動を始め、2022年に独立した団体です。年齢や性別、障がいの有無を問わず、「働きづらさを抱えているすべての人」を対象に、本人にあった働き方や社会との関わり方を一緒に探すユニバーサル就労支援に取り組んでいます。仕事に人を合わせるのではなく、人に合わせて仕事をつくるという発想のもと、一般就労でも福祉的就労でもない「中間的就労」の場を、協力企業や支援員とともに一つひとつ生み出しているのが特徴です。

訪問した事務所の中では、支援員の方がスタッフと言葉を交わしながらお茶を用意する場面や、届いたばかりの郵便物を確認する様子など、肩の力が抜けた日常の風景に出会いました。相談に訪れる方が毎日のように顔を出すというお話も伺い、この場所が単なる「窓口」ではなく、地域に根づいた居場所になっていることがうかがえます。

 

 

☆彡ニュースレターに込められた想い

事務所でいただいたニュースレターには、「学校に通えておらず進路が決まっていない」「就労経験がなくどうしたらよいかわからない」「障がいがあるが福祉施設の利用は抵抗がある」など、支援の対象となる具体的な相談例が並んでいました。年齢や立場の異なる利用者が並んで写る写真とともに、「働きづらさを抱えているすべての人を応援します」という一文が添えられており、団体が掲げる姿勢がまっすぐに伝わってきます。

団体名の「スナフキン・アンサンブル」には、周囲に同調できなくても、自分の芯を持ちながら誰かを支える生き方を応援し、そこから多様な調和を生み出したいという願いが込められているそうです。震災という大きな喪失を経験した土地だからこそ、「誰もひとりにしない」という言葉に、これまでとは違う重みを感じました。

 

 

☆彡 被災地の「今」を知るということ

私たちが実施している被災地視察プロジェクトは、震災から10年余りが経ち、復興の姿を振り返りながら未来への教訓を伝える場所へと変わりつつある東北の「今」に立ち、地域の方々と直接対話することを通じて、災害からの復興や誰もが大切にされる「共生地域」づくりのヒントを得ることを目的としています。

今回のスナフキン・アンサンブル訪問は、その象徴的な一場面でした。インフラの復旧だけでは見えてこない、地域に根づいた「人と人とのつながりの再生」の現場を、実際に足を運び、肌で感じていただけたら――そんな思いから、この視察ツアーをご案内しています。

被災地の「今」に関心をお持ちの方は、ぜひ一度、私たちの視察ツアーにご参加ください。現地でしか出会えない人や場所、そして言葉があります。

 

 

**視察・お問い合わせについて**
公益財団法人共生地域創造財団では、東北各地の団体を訪ねる視察ツアーを随時ご案内しています。ご興味のある方は「お問い合わせ」フォームよりご連絡ください。

 

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